新課程の大学受験生の定番参考書・問題集とルート(英語編)

新高3生からカリキュラムが新課程へと移行します。そこで、各科目の定番参考書についてまとめてみました。

 

昔と異なり、2020年代の大学受験の現場では定番の問題集や参考書をどれだけこなしているかによって受験できる大学が事実上決まってきます。受験生に与えられている時間は有限なので、少しでも早く受験勉強に取りかかった方が有利になります。つまり、「質よりも量がモノをいう」のが現在の受験の特徴といえます。

 

また、今の十代の学生はスマートフォンやパソコンのアプリを受験勉強に組み込んで効率を高めることができます。そのため、例題や練習問題に解説動画を用意していたり、スマホのアプリで計算や暗記を固めたりできるような問題集・参考書が人気のようです。

 

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英語の定番参考書(リンクはアマゾンへ)

・『ターゲット1900』(旺文社)

長らく大学受験生から利用され続けている英単語帳です。暗記を補強するためのアプリも充実しており、ほぼ敵なしといえます。ライバルとして『速読英単語』(Z会)もありますが、英文で単語を覚えるというコ

ンセプトの割に、英語例文をきちんと利用してこの単語帳を使っている生徒は一人もいませんでした。それなら、単純な暗記に特化したターゲットを使う方がよいと思います。

 

『ターゲット1900』は意外と単語の難易度が高いので、最初はより基本的な単語から収録されている『ターゲット1400』から使用を始め、Part1とPart2の1100語まで覚えられたら『ターゲット1900』へ移行するのがよいでしょう。

 

 

 

難関大受験生の間では『改訂版 鉄緑会東大英単語 鉄壁』(カドカワ)が根強い人気を誇っています。英単語暗記用アプリのmikanで鉄壁版があるので、鉄壁派ならこちらを利用するとよいでしょう。ただ、こちらの単語帳は厚揚げ豆腐のように分厚いので、途中で挫折してしまう受験生は非常に多いのではないかと思われます。英語が得意な人がより得意になるための単語帳であり、英語が苦手な人は手を出さない方がよいでしょう。ちなみに私は高校生の時に『Genius英和辞典』を2回買い換えました。この鉄壁をやるくらいなら、しっかりした英和辞典を一冊隅から隅まで読んだ方がよいのではないかという気もします。

 

 

 

英語難構文のトリセツ』(かんき出版)

小倉弘先生の英語参考書は人を選びますが、ある程度英語ができる(河合塾全統模試の偏差値が60以上)受験生であれば、ぜひ挑戦してほしい一冊です。英語で下線部訳が求められる部分は大抵なんらかの構文の仕掛けが潜んでいます。基礎から構文の勉強をしたい場合は、『大学受験スーパーゼミ 徹底攻略 基礎英文解釈の技術100』(桐原書店)が昔から根強い人気がありますが、15年以上改訂されていないのがちと気になります。

 

 

英文法は共通テストから大問が削除されてしまった影響をひきずっているせいか、これまでの定番参考書・問題集がなかなかアップデートされていません。もっとも、旧課程の文法書は完成度が最終形にまで達しており、これ以上手を加える必要がないと判断されているのかもしれません。大抵の受験生は、『Next Stage英文法・語法問題4th・通称ネクステ』(桐原書店)または『Vintage 英文法4th』(いいづな書店)のいずれかを使っているようです。Vintageの第4版は2023年に出たばかりなので、最新の入試問題の傾向を反映させた問題集を使いたいのであれば、Vintageの方がよいかもしれません。Next Stageは2024年1月に第4版の新版が出ていますが、表紙が2014年に出た第4版と同じなので、誤植等を直したものではないかと思われます。中身については大きな違いを認めることができませんが、問題数はVintageの方が多いので、これから定番の文法書を買う受験生はVintageをお勧めします。なお、ネクストの上位互換である『Power Stage英文法・語法問題』(桐原書店)も近年は進学校での採用シェアを伸ばしているようです。こちらはNew Editionが24年1月に刊行されました。

 

 

 

 

個人的に長文読解教材としては東大過去問の1-A(要約問題)が好みなのですが、本番の試験と同じくらい読んでいて知的好奇心をくすぐられるのが、伊藤和夫御大の名著『英語要旨大意問題演習』(駿台文庫)です。20年以上前の本ですが、今読んでも輝きは失っていません。また、赤本シリーズで有名な教学社が『東大の英語 要約問題 UNLIMITED』(教学社)を3年前に刊行しました。過去61年分の東大要約問題が収録されており、解説も竹岡広信先生が担当しています。

 

 

英作文はまず必要最小限の例文を覚える必要があります。地道な作業なので辛いですが、一通り覚えてしまえば最低限の点数は取れるようになります。ただ、その表現が本当に全ての場合に成立するかどうかは怪しいものです。「書かれた英文の意味は分かるけれども、コロケーションがよくない」や「なにか違和感がある」といった部分も解消したいということであれば、私は小倉弘先生の『例解 和文英訳教本』(プレイス)シリーズを強くお勧めします。この本を読めば、暗記用例文のパッチワークでは全然ダメだということがよく分かるはずです。小倉先生で英作文を固めたいのなら、例文がより豊富に載っている『体系英作文』(教学社)を併用すると効果的です。

 

 

英作文には自信アリという受験生なら、鬼塚先生の『京大英作文のすべて』(研究社)はぜひ押さえておきたい一冊です。私は今から10年前、この本の英作文を毎日1問ずつネイティブスピーカーに添削してもらい、大変英語力が身につきました。en masseという洒落た表現を学んだのも本書がきっかけです。

 

 

2024年の共通テスト英語読解問題は、80分の制限時間で英単語が約6400語と、速読力が従来に増して要求される内容でした。解答のために考える時間を考慮すればWPSは少なくとも150はないと共通テストで高得点を挙げるのは厳しいでしょう。新課程に移行してもこの傾向は続く見込みです。共通テスト英語はTOEICのリーディング問題に酷似した問題形式になっており、市販教材は共通テスト対策にもそのまま援用できると思います。

 

 

 

 

 

 

新課程の大学受験生の定番参考書・問題集とルート(英語編)